敗訴確定時には賠償という新日鉄住金の判断に注目

 戦後補償問題で注目すべきニュースが流れていますので、「共同」と産経を引用します。世界に事業展開をする企業としては、韓国の最高裁の判決には従うという、現実的判断だと思います。賠償請求権問題は日韓請求権協定で解決ずみとする日本政府の論拠はすでに破たんしているという指摘がありましたが、このニュースで改めてそのことを思いました。

 

 

敗訴確定時には賠償、新日鉄住金 韓国の徴用工訴訟で

2013/08/18 09:47 共同通信

 

 朝鮮半島の植民地時代に徴用工として強制労働させられたとして韓国人4人が損害賠償を求めた訴訟で、被告の新日鉄住金(旧新日本製鉄)は韓国の最高裁で敗訴が確定した場合には賠償に応じる意向であることを18日明らかにした。

 ソウル高裁は、7月10日に韓国人4人に請求通り計4億ウォン(約3500万円)の支払いを命じる判決を出した。戦後補償問題で韓国の裁判所が日本企業に賠償を命じた初めての判決。新日鉄住金は判決を不服として最高裁に上告したが、同社は「もし最高裁で敗訴が確定した場合は世界規模で事業展開する企業として賠償に応じざるをえない」としている。

 

新日鉄住金、韓国の戦時徴用訴訟で賠償の意向 敗訴確定時「無視できぬ」

2013.8.18 08:56 産経ニュース

 朝鮮半島の日本統治時代に日本で戦時徴用された韓国人4人が未払い賃金などの個人補償を求めた訴訟で、被告の新日鉄住金(旧日本製鉄、本社・東京)が計4億ウォン(約3500万円)の賠償を命じられた7月のソウル高裁判決を受け、敗訴判決が確定した場合には賠償に応じる意向であることが17日、同社への取材で分かった。元徴用工の賠償請求権問題については、日韓両政府とも昭和40年の日韓請求権協定で解決したとの立場を取っており、同社の判断は今後の同種訴訟や国内世論に影響を与えそうだ。

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 新日鉄住金の訴訟をめぐっては、原告のうち2人が平成9年に日本で同様の訴訟を起こしたが、15年に敗訴が確定。韓国でも確定判決の効力を認め1、2審が請求を退けていたが、韓国最高裁が昨年5月、個人請求権を認め、審理を高裁に差し戻した。

 新日鉄住金側はソウル高裁判決を不服として上告したが、最高裁で判断が覆される可能性は低いとみられる。

 同社は、(1)判決確定前に和解する(2)確定判決に従う(3)判決確定後も支払いに応じない-との選択肢から今後の方策を検討。(1)では原告側が補償基金の設立を求めることも予測され、賠償の対象が立証の不十分な元徴用工にも拡大すると判断した。

 また、(3)の場合は、同社の韓国内の資産を差し押さえる強制執行が行われるとみられ、取引上の売掛債権などが対象にされる可能性を考慮。同社幹部は「取引先にまで影響が及ぶ可能性があり、確定判決を無視するのは困難」としている。

 戦時徴用をめぐっては、三菱重工業(東京)に対しても7月、釜山高裁が賠償を命じる判決を言い渡した。同様に上告の意向を明らかにしている同社は「和解の予定はない」とした上で、「上告審で主張が認められると信じているが、万一敗訴が確定した場合には外務省、経済産業省など各方面と協力し適切な対策をとっていく」としている。