青島档案館の強制連行関連資料(10)

東京高裁での一問一答はつづきます。

 弁護士 第1労工訓練所はどのような施設だったのか。

 張 もともと大きな倉庫があった所で、労働力を集める満州労工協会の事務所をひきついだ。1944年につくりかえられた。高さ3㍍の塀をつくり、電気鉄条網を張った。90年代に取り壊されたと思う。

 弁護士 どれくらいの人がいれられていたか。

 張 青島から日本に送られたのは2万数千人。第1労工訓練所でどれくらい収容されたか分かっていないが、2000人くらいという記録がある。500平米の中に2000人。窓は閉め切ったまま。職員の回想によれば、入り口に立つだけでひどい臭いで、吐き気がしたという。陸軍が歩哨に立っていて、かいらいの青島市警も警戒にあたっていた。船待ちのときには港などで働かされていた。

 弁護士 被害者は暴力について具体的に話していたか。

 張 あります。王子安さん(北海道の倶知安に連行された)は、逃げようとしてつかまり、殴られ、水の中にたたされた。

 弁護士 近所の人が悲鳴を聞いたとの記録もあるが。

 張 私の調査では、周りの住民が聞いたと証言した。

 弁護士 施設の外にまで叫び声が聞こえるくらい、ひどい暴力をうけたということか。

 張 そうだ。

 弁護士 食事について聞く。青島市档案館が所蔵している文書では、伝染病がおこり、300人以上が死んだ。まだ、800人以上が残っているが、助ける方法が取られておらず、市が対処しなければいけないとあげた報告書だ。

 張 食事は1日2回。粟のおかゆ。飲み水も十分とれない。1食4両だ。

 弁護士 1両は31グラムだから、120グラム。

 張 125グラム。

 弁護士 肉体労働をする中国人は、ふつうどのくらい食べるのか。

 張 1日3食。万頭なら1食あたり4~6個でないと十分ではない。

 弁護士 ふだんの4分の1から6分の1の量にしかならないということになる。

 張 そうだ。

 弁護士 水は?

 張 なんとか飲もうとして殴られた人もいた。