裁かれた済南新華院(5)

(『戦争犯罪裁判概史要』のつづき)

第四三軍司令部関係については、五件五名が起訴され、審判の結果は、死刑一名を含む有罪二名、無罪三名であった。軍司令部付の中尉は、済南浮虜収容所長として逃亡せる俘虜三名を銃殺し、また病気の浮虜一名を薬殺した外、収容中の浮虜を酷使虐待したとして起訴され、死刑となった。(注:この中尉が青井真光です)

華北交通公司済南鉄路局関係については、二件二名が起訴され、いずれも有罪で、同局刑務段長は死刑であった。

右段長は、華北交通公司保管のダイナマイトを窃取した中国人四名を逮捕し、共同して殺害の上死体を遺棄したとして起訴されたものである。

済南総領事館及び新民会関係については、四件四名が起訴され、審判の結果は、いずれも有罪であった。

総領事は、昭和一一年(一九三六)八月済南総領事として着任、在職一カ月にして「七・七」中国侵略戦争に当り、撤退帰国し、日軍の済南占領後、昭和一三年(一九三八)四月、日軍に随って来済し、中国侵略工作に協力し、侵略機構を組織した。共同して平民を強迫し、家屋を売買せしめ、また、軍人に対して酷刑を施した部下の犯行に対して予防制止の能事を尽さなかったのは共犯の責を負うべきであるとして起訴され徒刑一二年を判決された。

総領事は中国語に明るく、公文の作成を中国人が聞きに来ていた、被告たちの申弁書を翻訳した。総領事の入所後、中国側の在所者に対する待遇がよくなって煙草なども許された。