強制連行は死のロードだった(5)

 「番号296孫金生20歳」の「水葬明細書」です。地崎組の華労名簿では、東川出張所の251番となっています(番号が違う理由は分かりません)。船中で死亡した場合、日本へ間もなく入港というときは、上陸した場所で埋葬されましたが、日があると水葬にふされました。

この「明細書」で、美唄砿業所のふたりと地崎組のふたりが引率者だったことが分かります。「病名死亡原因」が「不明」になっているのは、医師が同乗していなかったからですね。塘沽出港は914日ですから、わずか出発4日で亡くなっています。そもそも船に乗せられる体ではなかったに違いありません。病状がどうであれ、連れてくる強制連行の本性がここに深く刻まれています。

外務省報告書は、船中で死亡した中国人の数を564名としています。強制連行で6830名が亡くなったとされていますので、その8・3%にあたります。