赤嶺政賢衆院議員の時局講演 辺野古新基地建設などの沖縄問題を語る(1)

 日本共産党赤嶺政賢衆院議員が、11日に開かれた新日本婦人の会沖縄県本部の学習会で時局講演を行った。そのうちの沖縄に関する部分を要約する。

 沖縄で安倍内閣をだいぶ追い詰めました。オスプレイ名護市安部での墜落の問題を50分、追及しました。政府・防衛省は米軍に右へ倣えして、墜落と言わずに不時着水と言っている。これはとんでもないことで、事件を小さく見せようとしている。
 衆院予算委員会自民党はたくさんいますからね、政府の見解と違うことを言ったら、ものすごいヤジが飛んでくる。飛ばすなら飛ばしてみろと構えて追及した。「防衛省名護市への第1報は、墜落。墜落だろう」と言ったら、不時着水だと、首相も出てきて防衛大臣も出てきて、不時着水だというわけですよ。「しかしあなた方は、第1報は墜落といったじゃないか」重ねて追及した。防衛省の官僚が出てきて、あれはドタバタの中でしたので、第1報は墜落といいましたと認めた。これではだれもヤジれない。
 安部の人たちは、月夜の晩に海も凪で静かな夜だった、そのときに乱気流が起きて墜落したということは考えられない、高度いくらで飛んだのか―それが安部の人たちの意見だった。それをそのままぶつけた。「高度いくらで飛んでいたから乱気流にぶつかったのか」。アメリカから情報の提供はありませんという。「では、なんで乱気流だとわかるか」。アメリカがそういっているからというんです。
 私は、気象庁に「気象庁、当日乱気流の予報はありましたか、乱気流が起こったという民間のパイロットの連絡はありましたか」と聞いた。なかったという答弁でした。乱気流はなかった、ではなぜ、オスプレイは墜落したのか? 結局、空中給油機の後方から出る気流で、後方乱気流というらしいんですが、それに巻き込まれた。普通のヘリだったら巻き込まれない。オスプレイだから巻き込まれる、そういう欠陥を持っている。後方乱気流で墜落にいたった。彼らは苦しい答弁を続けておりました。
 普天間基地の5年以内の運用停止についても政府をただしました。仲井真知事が埋め立て承認をしたときに、安倍首相に基地が完成する前であっても普天間基地は危険だから、5年間で運用停止してほしいと言ったら、できることはすべてやる、何でもやるといった。県議会でも、5年以内の運用停止を本当にできるかと言われた仲井真知事(当時)は、首相が約束してできないはずがないじゃないかという答弁を繰り返した。

 それを今回、安倍首相がトランプ大統領に会いに行ってきたので、この問題で聞きました。「トランプ大統領にあなた会いましたね。あなたはその時に、仲井真前知事と約束した普天間基地の5年以内の運用停止、トランプ大統領に伝えましたか」。返ってきたのは、様々な話し合いをしたという答えでした。「私が聞いているのはさまざまな話しあいではなくて、5年間の運用停止を伝えたかどうかだ」。いろいろな話し合いがあったと繰り返した。運用停止を伝えていないことが分かったんですよ。5年以内の運用停止というのは2019年2月が期限。あと2年しかないができますねって、念を押したんですよ。そうしたら安倍首相は、翁長知事が協力してくれないからできないって答弁したんですよ。予想もしていない答弁でしてね。何を言うかと思って、「あんた、一度でもいいからアメリカに5年以内の運用停止やってくれと言ったことがあったか」。一度もないんですね。「ここにきてできなかったら翁長知事のせいにするのか」。厳しく叱りました。
 もう一つ問うたのは、普天間基地で行われている補修工事です。今、リフォームやっている。滑走路そばの住宅を。リフォームの中に洪水、雨が降ったら隊舎が冠水するということでため池を造る。このため池は、ものすごくでっかいものです。それが戦前の普天間基地の中にあった神山部落というところにつくる。神山集落が全部なくなるような大きなため池です。

 地元の人たちは、神山集落は返還してきたら自分の屋敷に戻りたい、自分の屋敷はこのへんだったということを長老たちに聞いて地図をつくっている。返還をするといいながらなんで自分たちの集落をつぶすかというものすごい怒りの声がおこっているんです。それを宜野湾市長は前から知っていたんです。知っていて、神山集落の人たちに一言も言わなかった。

 2019年2月が返還期限なんですが、いま普天間基地で行っている補修工事は2020年、21年、22年までかかるんですよ。5年以内に返すなんてことは一度も考えたことのない人たちが、翁長知事が悪いからとやっている。一番あわてたのは宜野湾の市長ですよ。実は補修工事が2019年2月を過ぎてまで終わらないことを知っていたんです。防衛省から連絡を受けて。

 これが明るみに出て、共産党の知念吉男議員が、宜野湾市議会でバンバンやったわけですよね。この間官邸にきて官房長官に5年以内の運用停止やってくれないと大変だと泣きついているんです。安保の壁にぶつかって何にもできない政府が5年以内に返しますとか、やっている。それについていったチーム沖縄という市長たち。彼らは、追い詰められております。
 われわれは高江でもたたかい続けております。宜野座村の城原区でもたたかいつづけております。城原区のそばにオスプレイの着陸帯「ファルコン」があります。泉さんの家からわずか300メートルです。

 泉さんが、オスプレイがひどいといって防衛局の職員を呼んだ。航空標識等をめがけて飛んでくるから見に来いって。ところがその日に限ってなかなか来ない。来ないじゃないですかって言っているときに、オスプレイが基地から外に出てきたそうです。防衛局の職員もまっさおになって、これはたいへんになったって平謝りにあやまった。基地の外でトンブロックをつりさげて旋回訓練するようなことは、許されません。

 防衛局長はその報告を聞いて、宜野座村の村長のところに謝罪にいったそうです。そのあと、米軍の司令官のところに行っているんですよ。防衛局長が米軍の司令官に抗議したら、局長、あれは基地の外に出たように見えるが、あれは基地の中だ、あんたがたは基地の外だと思っているんかと言った。それで防衛局長は分かりましたと。翌朝、沖縄県に行くときに、城原区では基地の外をトンブロックをつりさげて飛んでいたといいますが、アメリカは認めておりません。アメリカは基地の中だったと主張しております。基地の外だったか中だったかはっきりしません。このようにいったんですよ。

 白い色でも米軍が黒だといえば黒。泉さんは、防衛局の職員を呼んで一緒に見たでしょう、一緒に見たのにあんたがた、今頃になってわからないというのかと詰め寄った。職員は、申し訳ないを繰り返したそうです。

                (つづく)

 

翁長知事、稲嶺市長の訪米活動(2)

 現在、沖縄県議会2月定例会が開会中だが、翁長知事を攻撃する論点として、①“最高裁で県は敗訴したから、埋め立て承認の撤回はせず、新基地建設に協力せよ”②知事訪米の成果はなかった―などである。知事も与党3会派も精力的に反論しているが、ここでは②についてその一部を紹介する。
 訪米活動とその成果については、翁長知事は、ワシントンでの記者会見その他で語っているので、そちらで確認していただくとして、ここでは、知事帰国後だが、米連邦議会調査局が連邦議会議員向けに沖縄リポートをまとめたことを紹介しよう。
県議会で与党県議が「連邦議会調査局の報告書が発行されたが、これも訪米成果ではないか」と質問したことにたいして、翁長知事は「米国で調査局や補佐官などと話をしたが、しっかり要約されている。議員の政策を裏付けるために提言するような形でだされるもので、沖縄の思いがある程度伝わった」と成果を強調した。
連邦議会調査局自体、なじみが薄いが、謝花喜一郎知事公室長は「2015年の米議会連邦調査局の新規報告書などの件数は1264件であり、政策決定の参考にされるなど、連邦議会のなかでもたいへん重要な報告書の一つと考えている」と説明している。
 報告書で注目されるくだりをいくつか列記しよう。
① 更なる懸念は、最近日本政府が勝訴したにも関わらず、地元民の反対により、論争の的となっている沖縄の普天間基地の移設合意の実施についてである。
② 翁長知事は引き続き移設(計画)に反対しており、工事を阻止若しくは更に引き延ばすその他の方策を遂行している。
③ 日本政府もしくは米国政府による強引な行動は、反基地抗議を激化させる危険をはらんでいる。
沖縄県民に広く行き渡ったこのような不安のため、在沖米軍プレゼンスの持続性は、同盟にとって重大な懸念となっている。
日本政府は、最高裁で政府が勝利したから辺野古は絶対にできますと、一方的な情報を米側に伝えるばかりで、沖縄の民意は辺野古に新基地は造らせないだということをまったく伝えてこなかった。それゆえ、遠回りのようだが、沖縄の現状と民意をきちんと伝えることがどんなに困難であってもやり遂げなければならない課題になっていたのである。その意味で、一定の権威のあるところから、沖縄県の現状と新基地問題にたいする沖縄県の考え方などが正確に反映しているリポートがだされたことは、小さくない第一歩といっていいだろう。
県基地対策課は、近々、この調査局レポートを県のHPにアップするそうだが、「概要」の邦訳を以下に掲載する。

日本は、多くの外交政策面で米国の重要なパートナーである。特に、中国軍の近代化に対する防衛手段から北朝鮮の脅威に対処するなど、特に安全保障上の懸念があるためである。
(日米)同盟は、約5万人の米軍兵の前方展開及び日本におけるその他の米軍の利点を促進する。同盟の核心的要素は持続するであろうが、ドナルド・トランプ大統領下での総合的な関係は、オバマ政権下での関係性とは多少異なる可能性がある。2017年1月30日、米国は正式に環太平洋連携協定(TPP)の加盟国としての(署名を)撤回した。TPPは米国経済のリバランス、アジアの安全保障上の利益及び日本の安倍晋三首相の最優先事項として、オバマ政権の政策の目玉となってきた。2017年2月に行われたトランプ大統領、安倍首相間の首脳会談で、新政権で同盟関係が悩まされるといういくつかの懸念は軽減されたが、会談では、オブザーバーが問題視する争点は解決されなかった。大統領候補者であった際、トランプ氏は日本の貿易慣行及び、安全保障上の(同盟)関係への貢献度に非難を浴びせた。

北アメリカの外では、日本は米国の三番目に大きい輸出市場であり、二番目に大きな輸入源である。日本の企業は、米国において二番目に大きい海外直接投資源であり、日本の投資家は米財務省証券の最大の外国人保有者である。日本が協定を主張する中、米国がTPPから撤退することは、公式な経済関係における次のステップを不確かなものとする。一部の人々が2017年2月の首脳会談での二国間経済対話における議論は、公式なFTA交渉につながると主張してはいるが。

数年に渡る騒動の後、日本の政治は2012年12月の選挙で安倍氏並びに自由民主党が勝利してからは比較的安定してきており、自民党のその後の国会での利益をさらに強固にした。これらの勝利は、日本の自衛隊の権限及び順応性を強めるといったような安倍氏アジェンダに係る問題の多い主導権を執行するための国内における政治的資本を安倍氏に与えた。日本政府の政治的な一連の出来事は、日本経済を活性化し、日米同盟を強めるという安倍氏アジェンダを強化させた。2016年7月の参議院選挙における自民党内閣の圧勝は、さらに安倍首相の強さを確固たるものとし、野党の弱さを示した。

政権初期、安倍首相は20世紀の前半の日本の記録を含む敏感な歴史問題についてのコメントにより、身動きが取れなかった。歴史問題には、①第二次世界大戦時に日本兵に性行為を強要された「慰安婦」、②残虐行為を塗りつぶしていると批判者が主張している日本の歴史教科書、③A 級戦犯を含む戦没者がまつられている靖国神社への日本の指導者によるお参り、などがある。韓国との関係は悪化し、同盟3国間の協力を促進したい米国当局者の関心を引いた。安倍首相は、自らの発言を抑制し、韓国政府と暫定的な和解を開始することによって信頼を得たが、手に入れた物は、現在の韓国の混乱によって危機にさらされている。そ
の他、安倍首相は、オーストラリア、インド、ロシア、そして幾つかの東南アジア諸国と強固な関係を続けている。
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.日米防衛協力は、北朝鮮のミサイルの脅威や日中の島々を巡っての対立などの安全保障に対応し、強化、発展してきた。安倍首相は、2015年、議論となっていた安全保障法案を通過させたことにより、この傾向は加速された。この法律は、同年に改定された日米防衛ガイドラインとともに、大部分の実施はまだ先であり、同盟関係を完全に変質させるという目標を実現するためには、さらなる政治的資本や努力を要する。更なる懸念は、最近日本政府が勝訴したにもかかわらず、地元民の反対により、論争の的となっている沖縄の普天間基地の移設合意の実施についてである。
連邦議会調査局レポート
2017年2月16日

翁長知事、稲嶺市長の訪米活動(1)

辺野古の帰りに名護市役所に立ち寄り、名護市広報「市民のひろば3月号」をいただいてきた。「稲嶺進市長訪米報告」が特集されている。稲嶺市長の訪米は5度目ということで、これまでの積み重ねで、ワシントンに人脈もしっかりお持ちなのだろう。以下、稲嶺市長の報告を紹介しよう。

 

1月30日から2月5日の7日間、 稲嶺進名護市長は「辺野古新基地建設反対」の民意を直接訴えるため、 米国ワシントンDC.を訪問しました。今回の訪米行動は、2015年同様に翁長雄志沖縄県知事らの訪米団に同行する形で行われました。
稲嶺市長としては5回目の訪米行動となります。今回の訪米行動では、名護市独自のワークショップの開催をはじめ、 沖縄県主催のイベントヘの参加のほか、連邦議会議員(補佐官)との面談を行いました。

1月31日 ワークショップ
1月31日は、 辺野古新基地設問題について、米国内でも多くの人たちに理解を広め、 新基地建設阻止にむけての後押しを得ることを目的にワークショップを開催しました。稲嶺市長は、辺野古大浦湾の美しい自然や12月に起こった安部区のオスプレイ墜落事故に ついてスライドショーを用いて説明しました。
また、「選挙で示された民意を無視して新基地建設を強行している日本政府のもとでは民主主義も地方自治もないがしろにされ基本的人権もない」と訴え参加者に支援を求めました。
<参加者の声>
◎米国の先住民の活動と連携してはどうか。
◎沖縄の情報をいただければ私の運営するインターネットニュースで流していきたい。
◎米国の法律では貴重な動植物があるところには基地の建設はできないはずだ。
◎今日のようなミーティングを沖縄県ワシントン事務所から発信できないか。
◎沖縄の現状をメディアが積極的に世界中に発信すべきだ。
◎新聞への投稿などできることはたくさんある。小さなことでもいいからできる方法を
駆使して賛同を得るべきだ。

2月1日~3日 連邦議会でのロビー活動
2月1日から2月3日は主に連邦議会議員(補佐官)との面談を行いました。今回はトラ ンプ政権発足に伴い、沖縄の現状を改めて伝えることを目的に、オール沖縄会議のメンバー とともにロビー活動を実施しました。
面談では、普天間飛行場の撤去、辺野古新基地建設の断念、オスプレイの配備撤回の3項 目を訴えるとともに、その歴史や現状を名護市作成のパンフレットなどを用いて説明しました。面談先においては、大浦湾の生物多様性、新基地の形態、沖縄の現状などについて意見や質問がありました。
<面談者の声>
◎この問題についてわれわれに何ができるか探っていきたい。皆さんとの対話を続ける
準備がある。
◎沖縄の負担を当たり前とは思っていない。日本政府との対話だけでなく、地元に選ばれた人たちからも意見を聞きたい。
◎日米同盟が重要な中、 墜落や凶悪な事件は心が痛む。このような犠牲は払うべきではない。
◎日本政府で解決すべき問題で米政府が介入すべきではない。
◎懸念はわかるが両政府が決めたこと。
◎沖縄は戦略的に重要な位置にある。

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翁長知事の施政方針(8)

 第3は、沖縄の「平和」を拓く―平和創造プラン―の視点であります。

 「沖縄から世界へ、平和の発信」について申し上げます。
 沖縄平和賞や平和祈念資料館における戦争体験証言等の記録などを通じて、恒久平和を願う沖縄の心を広く国内外へ発信し、次世代に継承する事業を充実させてまいります。
沖縄戦の戦災の状況を後世に伝えるため、国と連携し、戦災の記録が確実に残るよう取り組んでまいります。

 「国際交流・協力の推進」について申し上げます。
 世界のウチナーネットワークの強化、拡大、次世代への継承を図るため、市町村及び県人会や世界若者ウチナーンチュ連合会等との連携を一層強化し、様々な交流を推進してまいります。
 県内の中学・高校で国際協力出前講座を実施するとともに、JICA沖縄と連携して、高校生を開発途上国へ派遣し、将来の国際協力を担う人材を育成します。

 「基地問題の解決と駐留軍用地の跡地利用」について申し上げます。
 昨年12月、県民の不安が一向に払拭されていないことから配備撤回を求めてきたオスプレイが、墜落事故を起こすなど、米軍基地に起因する事件・事故は、依然として県民に大きな不安を与えております。
 県としては、引き続きオスプレイの配備撤回を求めるとともに、米軍機による事故等が発生した際の政府の対応に県の考えを反映させる新たな仕組みを構築し、県民の懸念や不安の払拭を図って参ります。
 また、日米地位協定については、県としては、米軍基地を巡る諸問題の解決を図るためには、米側に裁量を委ねる形となる運用の改善だけでは不十分であると考えております。
 今後とも軍転協や渉外知事会、全国知事会とも連携し、あらゆる機会を通じ、日米両政府に、日米地位協定の抜本的な見直しを粘り強く求めてまいります。
 辺野古新基地に反対する県民世論、及びそれを踏まえた建設阻止に向けた私の考えや、沖縄の正確な状況について、米国政府、連邦議会へ伝えるためには、米国ワシントンD.C.の駐在員を活用し、基地問題に関する情報収集・発信を行うとともに、私が訪米し、直接訴えることによって、沖縄の課題解決に努めてまいります。
 普天間飛行場の5年以内運用停止を含めた危険性除去の方策について、政府と調整してまいります。
 嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還については、統合計画の確実な実施とともに、内容の具体的な説明、地元意見の聴取の場の設置、跡地利用の円滑な推進等を引き続き政府に対して強く求めます。とりわけ、牧港補給地区については、7年以内の全面返還に向けて、引き続き、政府と調整を進めてまいります。
 また、平成27年3月に返還された西普天間住宅地区の跡地利用については、国、宜野湾市琉球大学、地主会等の関係者と連携し、国際医療拠点の形成を目指してまいります。
 さらに、普天間飛行場をはじめとした返還予定地について、関係市町村等と連携し、跡地利用計画の策定を促進します。
 戦後処理問題については、不発弾処理問題の早期解決に取り組むとともに、沖縄戦戦没者の遺骨収集の加速化を図ります。また、所有者不明土地問題について、抜本的解決策を講ずるよう国に求めてまいります。
               (「Ⅲ 提出議案について」は略)

翁長知事の施政方針(7)

 「子育て・高齢者施策の推進」について申し上げます。
 安心して妊娠、出産し、子どもを健やかに育てることができるよう、子育て世代包括支援センターの設置を促進するとともに、低体重児出生率の改善に向けた取組を推進します。
 また、こども医療費助成制度について、市町村の意向を踏まえながら、現物給付の導入に向けた取組を推進します。
待機児童の計画的な解消や、多様なニーズに対応した子育て支援の充実等、保育サービスの充実を図ります。
 「沖縄県子どもの貧困対策計画」に基づき、子どものライフステージに即した切れ目のない総合的な子どもの貧困対策を推進します。
さらに、要保護児童等への支援やひとり親家庭等の自立支援にも引き続き取り組みます。
 高齢者の介護サービスの充実、認知症施策の推進、社会参加の促進等、地域包括ケアシステムを構築するとともに、介護人材の確保に取り組みます。
また、入所待機者の解消に向け、特別養護老人ホーム等の施設整備の支援に取り組みます。

 「医療の充実」について申し上げます。
 北部及び離島地域における医師不足の解消に重点的に取り組むとともに、看護師等保健医療従事者の養成・確保、救急医療体制の充実など、地域医療の充実強化を図ります。
県立病院については、地域の中核病院として、救急医療や小児医療、周産期医療など医療提供体制の安定確保に努めるとともに、経営の健全化に向けて、更なる改善に取り組みます。
 また、新県立八重山病院については、平成30年度の早い時期の開院に向けて整備を進めます。

 「安心・安全で快適な社会づくり」について申し上げます。
 人に優しい交通手段の確保に向けて、IC乗車券の船舶やタクシーへの拡張利用について検討を行います。 
 住環境の整備については、県営大謝名団地、神森団地、南風原団地、南風原第二団地、新川・真喜良団地等の建替を推進します。
 民間既存住宅の省エネ化やバリアフリー化を図るため、住宅リフォームを促進するとともに、配慮が必要な高齢者等の民間賃貸住宅への入居支援を促進します。
 飲酒運転根絶等の交通安全対策のほか、地域社会と連動した「ちゅらさん運動」を一層活性化させ、少年非行防止対策や子ども・女性・高齢者等の安全確保を含めた総合的な犯罪抑止対策に取り組みます。
 犯罪被害者等を社会全体で支える機運の醸成を図り、警察安全相談体制の充実、大規模災害やサイバー空間の脅威など、県民生活を脅かす様々な危機に対してきめ細かな対策を推進します。
 DV ・ストーカーや性犯罪等の被害未然防止対策を強化するとともに、県立中部病院敷地内に「沖縄県性暴力被害者ワンストップ支援センター」を建設し、性犯罪・性暴力被害者に対する被害直後からの総合的な支援体制の充実に取り組みます。
 消費者被害の未然防止と早期救済を図るため、市町村相談体制の充実と消費者への啓発等に継続的に取り組みます。
 災害に強い県土づくりのため、老朽化した橋梁の補修・補強や海岸堤防等の改修、また、民間住宅、ホテル、病院等への耐震診断及び改修等に対する支援等に取り組みます。
 治水・浸水対策、土砂災害対策、高潮対策に取り組むとともに、治山対策による森林の維持・造成を推進し、潮風害の防止、山地災害復旧・予防、及び生活環境の保全を図ります。
 東日本大震災熊本地震の教訓を踏まえ、県民の防災意識の向上と迅速な避難行動の確保、園、市町村、民間事業者等と連携した迅速な災害救助や被災者支援に備えた体制の整備等に取り組みます。
 安全な水道水を将来にわたって安定的に供給するため、水道施設の計画的な更新・耐震化を推進します。
 また、市街地の雨水浸水対策を促進し、下水道施設の整備拡張や計画的な更新・耐震化に取り組みます。

 『離島力の向上」について申し上げます。
 離島地域においては、港湾・空港施設の機能向上をはじめ道路・公園などの社会基盤整備を推進します。
 超高速ブロードバンド環境の整備による情報格差の解消や、本島周辺離島8村への水道水の安定供給と料金低減の取組など、水道広域化の取組を着実に進めます。
離島航路及び航空路に就航する船舶や航空機の購入等の支援など、交通基盤の整備を推進します。
 また、離島航路及び航空路の交通コスト低減や割高な生活コストの低減に取り組むとともに、安定した保健医療サービスの提供、離島患者の通院コストの低減や植物コンテナによる葉野菜の安定供給のほか、離島からの高校進学等の支援など、離島の定住条件の整備に取り組んでまいります。
 体験プログラムの開発・改善や民泊を推進する離島体験交流事業等を引き続き実施します。
 離島の主要産業であるさとうきびや畜産などの農林水産業の生産性向上、担い手の育成・確保対策を推進し、製糖業の効率化や合理化、経営安定化に取り組むとともに、地元特産品の販売力強化を支援します。

 「教育の振興」について申し上げます。
 学校教育については、教員の指導力向上、学校の授業改善等、小中学校のさらなる学力向上を図ります。また、正規教員率の改善にも引き続き取り組みます。
 中高一貫教育等の充実による人材の育成を図るとともに、給付型奨学金の実施など、大学等への進学を支援してまいります。
 さらに、大学進学率のさらなる向上を図り、将来の沖縄振興の基盤を担う人材を育成・輩出するため、高等教育を受ける機会の創出等に取り組んでまいります。
就学援助を必要とする児童生徒に支援が届くよう、制度の周知広報を図るとともに、制度の充実を促進してまいります。
 また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置等により、いじめ、不登校、深夜はいかい等の未然防止、早期発見及び早期解決に取り組みます。
 今年4月から県立高等学校3校に軽度知的障害を対象とした併設型の高等支援学校を開校し、特別支援教育のさらなる充実を図ってまいります。
特色ある教育を実践し、個性豊かな人材育成に貢献している私立学校を支援し、私学教育の充実、多様な人材の育成を図ります。
 子どもの健やかな成長を育む「やーなれー」事業を推進するとともに、地域住民等の参画による学習補助や学校支援、子どもたちの放課後の安全・安心な居場所づくりなど、家庭教育の充実を図ります。
 また、離島等図書館未設置町村における移動図書館の実施等により読書環境の充実を図るとともに、「知の拠点」となる新県立図書館の整備を進めます。
 米国や欧州、アジア諸国など、海外への短期研修及び海外留学に高校生や大学生等を派遣するなど、継続してグローバル人材の育成に取り組みます。
 「平成31年全国高等学校総合体育大会」が、本県を含む九州南部4県で開催され、沖縄県では、陸上、サッカ一、空手道など7競技8種目が実施されることが決定しました。同大会の開催に向けて、関係市町村や各競技団体等と連携し取り組みを進めます。

翁長知事の施政方針(6)

 第2は、沖縄の「幸せ」を拓く―生活充実プラン―の視点であります。

 「地域力の向上・くらしの向上』について申し上げます。
 県民一人ひとりがボランティア、NPO活動などへ主体的に参加できる仕組みづくりや、県民や地域組織、企業等の多様な主体が連携した取組を促進します。
 働く全ての人が輝ける職場環境の整備を目指し、県が率先して仕事と生活の両立支援、子育てに優しい職場づくりに取り組むとともに、市町村等と連携して、女性が輝く社会づくりに取り組みます。
 県内全市町村で構成する沖縄県移住受入協議会での活動を通し、移住者受入に取り組む市町村の創意工夫を支援するとともに、県外都市部における移住フェアの開催など、Uターン者や移住者の持続的受入に向けた取組を積極的に推進します。
 モノレール旭橋駅周辺地区市街地再開発について、平成30年度の事業完了を目指したバスターミナルを含む北工区の整備を支援してまいります。

 「美ら島の自然環境保全」について申し上げます。
 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録に向け、国、市町村等と連携し、やんばる地域及び西表島における希少種等の保護や外来種対策など、自然環境の保全に取り組みます。
 沖縄県自然環境再生指針を踏まえた自然環境再生モデル事業や、サンゴ礁保全に向けたオニヒトデ対策などに取り組み、自然環境の保全・再生・適正・利用を図ります。
 また、昨年9月にハワイで締結した「グリーンアイランドパートナーシップ設立に関する合意書」に基づき、米国ハワイ州及び韓国済州特別自治道と協力し、島嶼地域が直面する環境に関する課題解決等に向け取り組みます。
 生物多様性保全上重要な情報収集・調査研究・教育普及の拠点となる「国立自然史博物館」の誘致について、取組を進めます。
 また、絶滅が危倶されるジュゴンの生息状況等の調査を継続し、保護施策のあり方等、希少生物の保全に向けた取り組みを推進します。
 亜熱帯の特性を活かした沖縄らしい景観や環境共生型社会の形成を目指した取組を進めるとともに、緑化施策を充実し、全島緑化を推進します。
 また、公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場の平成31年度供用開始を目指し、工事に着手します。

 「誇り高きウチナー文化の普及促進」について申し上げます。
 中期「しまくとぅば」普及推進行動計画に基づき、人材の養成や活用のコーディネートなど、中核的な機能を果たす「しまくとぅば普及センター(仮称) 」 を平成29年度に設置し、市町村、学校、団体等と連携のもと、県民への普及促進、次世代への継承に取り組みます。
 組踊、琉球舞踊、沖縄芝居などの伝統文化や、染織物、陶器、漆器などの伝統工芸の後継者育成に取り組むとともに、国内外への発信力の強化を図ります。
 また、県産工芸品の市場ニーズに対応した製品開発等に取り組み、普及や販路拡大を図ります。
 沖縄の歴史文化の核となってきた指定文化財の保護に努めるとともに、「沖縄県史」及び「歴代宝案」の編集刊行に取り組みます。

 「健康福祉社会の実現』について申し上げます。
 2040年までに平均寿命日本一を取り戻すため、次世代や働き盛り世代の健康づくりのさらなる拡大や、健康づくりを担う人材の育成を図るなど、引き続き健康長寿復活プロジェクトを推進します。
 また、栄養指導等の健康づくりを推進するため、管理栄養士の養成などに取り組みます。
 民生委員・児童委員の充足率向上と活動の活性化を図るとともに、適切な福祉サービスが利用できる体制を推進します。
生活困窮者の相談支援体制の更なる充実、地域における関係機関とのネットワークのより一層の強化に取り組みます。
 平成29年度から本格的に施行される新しい社会福祉法人制度について、市町村等の関係機関と連携しながら、社会福祉法人の経営組織のガバナンスの強化、事業運営の透明性の向上等を促進します。
 障害のある人に対する誤解や偏見等をなくす取組を充実させるとともに、地域生活への移行の促進、社会参加、就労支援等の地域生活支援を行います。

翁長知事の施政方針(5)

 「産業の振興と雇用の創出・安定』について申し上げます。
 国際情報通信ハブの形成を目指し、沖縄と首都圏、アジアを直結する高速通信基盤等を活用したアジアとの双方向ビジネスの展開を支援します。
 また、サイバーセキュリティをはじめ、先進的なIT技術を活用した研究開発等や、他産業との連携による付加価値の高いサービスの創出、高度IT人材の育成を促進します。
国際物流拠点の形成に向けて、国際航空物流や海上物流の拡充を進めるとともに、これらの優れた機能を活用するグローバル企業等の集積を促進し、併せて商流ネットワークの構築に取り組みます。
 また、全国の優れた特産品を迅速にアジアへ届ける流通プラットフォームの構築を推進するとともに、事前マッチング型商談会としては、国内最大級の「第4回沖縄大交易会」を民間と共同で開催します。
 「沖縄科学技術振興ロードマップ」に基づき、沖縄科学技術大学院大学琉球大学及び沖縄工業高等専門学校を核とした産学官連携によるリーディングプロジェクトの創出や人材育成・確保の支援体制の構築を図り、新事業・新産業を創出する国際的な知的・産業クラスターの形成を推進します。
 再生医療や疾患ゲノムの研究開発を通じて先端医療技術の研究基盤を強化するとともに、感染症分野の研究開発や国際会議の開催等に取組み、国際的な先端医療及び感染症研究の拠点形成を推進してまいります。
 また、沖縄の生物資源や地理的優位性等を活かした医薬品、医療機器、機能性食品等の研究開発及び事業化を推進します。
 企業誘致については、国際物流拠点産業集積地域や、情報通信産業振興地域、経済金融活性化特別地区等の特区や各種税制優遇措置等を活用するとともに、航空機整備施設等のインフラ整備を促進し、アジア市場にビジネスを展開する産業等の集積に取り組みます。
 沖縄物産フェアの拡充や県内企業の販路開拓の支援等により、県産品の県外、アジア市場への販路拡大・販売促進に努めます。
 さらに、海外ネットワークを有効に活用し、観光誘客、県産品の海外展開、投資誘引等、戦略的な施策を展開します。
 県内ものづくり産業の振興については、サポーティング産業の強化を図るとともに、産学官・企業間連携の推進、高度技術の開発、戦略的製品の開発などに取り組みます。
泡盛などの県外展開による販売促進や需要喚起などの取組を引き続き支援するとともに、経営基盤の強化などが有効に図られるよう、酒類業界との連携に努めます。
 中小企業・小規模事業者の支援については、市町村や関係機関と緊密に連携し、経営革新や創業の促進、経営基盤の強化、資金調達の円滑化など、総合的に取り組みます。
また、好調な観光客の消費需要を着実に取り込み、県内商業の活性化に取り組みます。
クリーンエネルギーの推進については、米国ハワイ州との協力事業を推進し、海洋エネルギーをはじめ、沖縄の地域特性を活かした再生可能エネルギーの普及拡大を図るとともに、島嶼型のエネルギー技術開発や、関連企業の海外展開及び国際貢献を促進します。
 雇用の安定については、若年者等の離職率の高さや求人と求職のミスマッチ等の課題に引き続き取り組んでまいります。
 雇用の質の改善については、優れた人材育成の取組を行っている企業の認証制度のさらなる活用を促進するとともに、ワーク・ライフ・バランスの推進、従業員の正規雇用化など、働きやすい環境づくりに取り組む企業に対し、各種支援施策を展開します。

 「農林水産業の振興』について申し上げます。
 沖縄の地域特性を活かした農林水産業の振興については、戦略品目による拠点産地の形成、生産基盤の整備、6次産業化のほか、「地理的表示保護制度」の活用などにより、さらなるブランド化を推進するとともに、アジアなどへの海外輸出、販路開拓に積極的に取り組みます。
 また、島嶼県における流通条件の不利性の負担を軽減するため、引き続き輸送コスト低減対策を推進するとともに、中央卸売市場における物流対策の強化を図ります。
農地利用については、農地中間管理機構を通じて、新規就農者や法人経営体等担い手の農地利用拡大に取り組みます。
 畜産業については、経営基盤の強化を実施するとともに、安全・安心な県産食肉等の流通体制の強化を図るため、HACCP (ハサップ)基準に対応した食鳥処理施設の整備に取り組みます。
 水産業については、新規漁業就業者を対象とした漁具等の漁業経費の支援等を実施し、漁業就業者の確保・育成に取り組みます。
 また、漁船が自由かつ安全に操業できる漁場を確保するため、ホテル・ホテル訓練区域における使用制限の解除対象水域の拡大及び対象漁業の拡充を求めてまいります。
 日台漁業取決めの影響緩和のための基金を活用し、漁業者の安全操業の確保や水産経営の安定化など、水産業の振興に取り組みます。