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翁長知事の施政方針(5)

 「産業の振興と雇用の創出・安定』について申し上げます。
 国際情報通信ハブの形成を目指し、沖縄と首都圏、アジアを直結する高速通信基盤等を活用したアジアとの双方向ビジネスの展開を支援します。
 また、サイバーセキュリティをはじめ、先進的なIT技術を活用した研究開発等や、他産業との連携による付加価値の高いサービスの創出、高度IT人材の育成を促進します。
国際物流拠点の形成に向けて、国際航空物流や海上物流の拡充を進めるとともに、これらの優れた機能を活用するグローバル企業等の集積を促進し、併せて商流ネットワークの構築に取り組みます。
 また、全国の優れた特産品を迅速にアジアへ届ける流通プラットフォームの構築を推進するとともに、事前マッチング型商談会としては、国内最大級の「第4回沖縄大交易会」を民間と共同で開催します。
 「沖縄科学技術振興ロードマップ」に基づき、沖縄科学技術大学院大学琉球大学及び沖縄工業高等専門学校を核とした産学官連携によるリーディングプロジェクトの創出や人材育成・確保の支援体制の構築を図り、新事業・新産業を創出する国際的な知的・産業クラスターの形成を推進します。
 再生医療や疾患ゲノムの研究開発を通じて先端医療技術の研究基盤を強化するとともに、感染症分野の研究開発や国際会議の開催等に取組み、国際的な先端医療及び感染症研究の拠点形成を推進してまいります。
 また、沖縄の生物資源や地理的優位性等を活かした医薬品、医療機器、機能性食品等の研究開発及び事業化を推進します。
 企業誘致については、国際物流拠点産業集積地域や、情報通信産業振興地域、経済金融活性化特別地区等の特区や各種税制優遇措置等を活用するとともに、航空機整備施設等のインフラ整備を促進し、アジア市場にビジネスを展開する産業等の集積に取り組みます。
 沖縄物産フェアの拡充や県内企業の販路開拓の支援等により、県産品の県外、アジア市場への販路拡大・販売促進に努めます。
 さらに、海外ネットワークを有効に活用し、観光誘客、県産品の海外展開、投資誘引等、戦略的な施策を展開します。
 県内ものづくり産業の振興については、サポーティング産業の強化を図るとともに、産学官・企業間連携の推進、高度技術の開発、戦略的製品の開発などに取り組みます。
泡盛などの県外展開による販売促進や需要喚起などの取組を引き続き支援するとともに、経営基盤の強化などが有効に図られるよう、酒類業界との連携に努めます。
 中小企業・小規模事業者の支援については、市町村や関係機関と緊密に連携し、経営革新や創業の促進、経営基盤の強化、資金調達の円滑化など、総合的に取り組みます。
また、好調な観光客の消費需要を着実に取り込み、県内商業の活性化に取り組みます。
クリーンエネルギーの推進については、米国ハワイ州との協力事業を推進し、海洋エネルギーをはじめ、沖縄の地域特性を活かした再生可能エネルギーの普及拡大を図るとともに、島嶼型のエネルギー技術開発や、関連企業の海外展開及び国際貢献を促進します。
 雇用の安定については、若年者等の離職率の高さや求人と求職のミスマッチ等の課題に引き続き取り組んでまいります。
 雇用の質の改善については、優れた人材育成の取組を行っている企業の認証制度のさらなる活用を促進するとともに、ワーク・ライフ・バランスの推進、従業員の正規雇用化など、働きやすい環境づくりに取り組む企業に対し、各種支援施策を展開します。

 「農林水産業の振興』について申し上げます。
 沖縄の地域特性を活かした農林水産業の振興については、戦略品目による拠点産地の形成、生産基盤の整備、6次産業化のほか、「地理的表示保護制度」の活用などにより、さらなるブランド化を推進するとともに、アジアなどへの海外輸出、販路開拓に積極的に取り組みます。
 また、島嶼県における流通条件の不利性の負担を軽減するため、引き続き輸送コスト低減対策を推進するとともに、中央卸売市場における物流対策の強化を図ります。
農地利用については、農地中間管理機構を通じて、新規就農者や法人経営体等担い手の農地利用拡大に取り組みます。
 畜産業については、経営基盤の強化を実施するとともに、安全・安心な県産食肉等の流通体制の強化を図るため、HACCP (ハサップ)基準に対応した食鳥処理施設の整備に取り組みます。
 水産業については、新規漁業就業者を対象とした漁具等の漁業経費の支援等を実施し、漁業就業者の確保・育成に取り組みます。
 また、漁船が自由かつ安全に操業できる漁場を確保するため、ホテル・ホテル訓練区域における使用制限の解除対象水域の拡大及び対象漁業の拡充を求めてまいります。
 日台漁業取決めの影響緩和のための基金を活用し、漁業者の安全操業の確保や水産経営の安定化など、水産業の振興に取り組みます。

翁長知事の施政方針(4)

 Ⅱ 平成29年度の施策の概要について
 次に、平成29年度における施策の概要について、御説明申し上げます。

 第1は、沖縄の「経済」を拓く―経済発展プラン―の視点であります。

 「自立経済発展資源の創出」について申し上げます。
 「沖縄県アジア経済戦略構想」の実現に向けて、海外事務所や民間との連携強化をはじめ関連施策を効果的、効率的に展開してまいります。
具体的には、昨年12月に締結した福建省との経済連携を踏まえ、県産品等を、福建省を通じて中国に輸出することにより課題を抽出し、通関の簡素化・迅速化等に向けた取組を進めます。
 また、自然環境、文化資源、スポーツ、農林水産物をはじめとする産業資源の高付加価値化を促進し、各産業分野において沖縄ブランドの確立を図ります。

 「社会資本・産業基盤の整備」について申し上げます。
 那覇空港の滑走路増設事業を促進するとともに、増大する旅客需要に対応するため国内線と国際線ターミナルビルを連結する施設の増築を促進するなど、ターミナル機能の拡充・強化を図ってまいります。
 那覇港については、総合物流センターの整備を推進します。
 中城湾港については、航路の拡充や産業支援港湾整備を着実に進めるとともに、クルーズ、船の受け入れについても積極的に取り組みます。
 本部港については、物流、人流機能の更なる向上を図るとともに、大型クルーズ船に対応する岸壁等の整備を推進します。
 幹線道路網については、那覇空港自動車道及び沖縄西海岸道路の整備を引き続き促進するとともに、南部東道路等の整備を推進し、本島南北軸・東西軸を結ぶハシゴ道路ネットワークの早期構築に取り組みます。
 また、大型MICE施設へのアクセスを円滑にする県道浦添西原線の整備を推進します。
 沖縄都市モノレール首里駅から沖縄自動車道(西原入口)までの延長整備を推進し、平成31年春の開業を目指します。あわせて、石嶺駅の先行開業について、引き続き検討を進めます。

 「沖縄らしい観光リゾート地の形成」について申し上げます。
 沖縄のソフトパワーを活用した世界水準の観光リゾート地の形成に取り組み、平成33年度までに観光収入1兆円超、入域観光客数1,000万人超の達成を目指します。
 来月、我が国で初めて、沖縄で開催されるアジア最大の航空会社商談会「ルーツアジア」において沖縄のポテンシャルを印象づけ、国際航空路線の更なる拡充を図ってまいります。
 これまでインバウンド需要を取り込むため国外で展開してきた、沖縄観光ブランド「Be.Okinawa (ビーオキナワ) 」について、関係団体等と連携し効果的な推進体制の構築に取り組み、国内においても戦略的に展開します。
自然・歴史・文化など沖縄固有の資源を活用したエコツーリズム農林水産業と連携したグリーン・ツーリズム、ブルー・ツーリズムなどの体験交流型観光を推進するとともに、やんばるの山村資源を持続可能な形で活用する森林ツーリズムの推進体制の構築にも取り組みます。
 2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会に向けて、事前キャンプの誘致等、スポーツコンベンションの推進や県出身選手の育成のほか、沖縄県への聖火リレーの誘致、開会式等における沖縄文化・芸能の披露等に向けた取組を推進します。

翁長知事の施政方針(3)

第4に、『内閣府予算案について」申し上げます。
 平成29年内閣府沖縄関係予算案においては、沖縄振興を推進するための経費として3千億円台が確保され、那覇空港の滑走路増設、子どもの貧困対策、駐留軍用地の跡地利用推進などの経費について、引き続き計上されました。
 厳しい国家財政状況の中で、各方面の御尽力により、離島地域の活性化や産業イノベーションの創出に係る事業などが、新たに計上されたところであります。
 沖縄県としては、沖縄振興予算の更なる効果的な活用を図るため、沖縄振興一括交付金の執行体制を強化するなど、沖縄の振興に取り組んでまいります。

翁長知事の施政方針(2)

 第3に、「今後の沖縄振興に向けた取組について」申し上げます。
 平成29年度は、沖縄21世紀ビジョン基本計画の中間評価を踏まえ、残された課題や社会経済情勢等の変化により明らかとなった新たな課題の解消を図り、安全で、安心に暮らせる沖縄らしい優しい社会を創りあげ、好況が続く経済をより高い次元へと進化させていくための第一歩となる重要な年であります。
 私は、沖縄がもつ地域力、文化力、伝統力、人間力、自然力、離島力、共生力、経済力などのソフトパワーが子や孫の世代まで大切に引き継がれ、未来を拓くエンジンとして十二分に活かされ続けていくことが、きわめて重要であると認識しており、このような考え方の下、「経済発展」、「生活充実」 、「平和創造」の3つの視点から、施策を展開してまいります。
 「経済発展」については、まず、「アジア経済戦略構想推進計画」に基づく取組の具体化を一層推進します。その一環として、アジア経済戦略課に「戦略推進室」を設置し、推進体制の強化を図ります。併せて、昨年11月の「沖縄県アジア経済戦略構想推進・検証委員会」による提言も踏まえ、スピード感を持って、成長著しいアジアのダイナミズムと連動した観光リゾート産業や情報通信関連産業などのリーディング産業の拡充・強化、国際物流拠点の形成等を推進し、平成33年度の目標である県内総生産5兆1千億円の達成や県民所得の向上に向けて取り組んでまいります。
 平成32年度の供用開始を目指し、本島東海岸地域の振興に資する大型MICE施設を、民間活力を導入して整備を進めるとともに、沖縄観光に「ビジネスリゾート」という新機軸を打ち出し、産学官と連携したMICE関連産業の創出に取り組みます。
ITの活用による沖縄の産業全体の国際競争力を高めるため、「IT戦略センター準備室」を立ち上げ、長期的な成長戦略を構築する官民一体となった「沖縄IT産業戦略センター(仮称)」の、平成30年度の設置に向けて取り組みます。
 平成30年沖縄県で初めて開催する「第56回技能五輪全国大会、第38回全国アビリンピック」の成功に向けて、実施計画の策定や選手の育成など、着実に準備を進め、青年技能者の育成や障害を持つ方々の職業能力の向上と雇用の促進を図ります。
 また、那覇港において最大22万トン級の大型クルーズ船に対応した港湾整備を促進し、国際交流・物流機能の強化を図るとともに、那覇空港へ建設する航空機整備施設の平成30年度の供用開始を目指し、航空関連産業クラスターの形成を図ります。
鉄軌道を含む新たな公共交通システムについては、構想段階における計画案を策定し、併せて特例制度の創設や事業化に向けた取組を進めます。
 「生活充実」については、「しまくとぅば」をはじめとするウチナ一文化の普及継承をさらに推進してまいります。沖縄伝統空手・古武道を保存・継承・発展させるため「空手振興ビジョン(仮称) 」を策定するとともに、「第1回沖縄空手国際大会」の平成30年8月開催に向けた取組を進めるなど、沖縄空手会館を拠点に、世界中に1億人いるともいわれる空手愛好家の受け入れ体制の強化や交流拡大を図り、「空手発祥の地・沖縄」を世界に向けて強力に発信してまいります。
 また、平成32年度供用開始に向けて「工芸の杜(仮称) 」の整備に取り組みます。
 子どもの貧困対策については、昨年11月に、「子ども未来政策課」を新設し体制を強化しました。「沖縄県子どもの貧困対策推進基金」を活用し、市町村における子どもの学びと育ちを支援するとともに、国と連携し、子どもの貧困対策支援員の配置や居場所づくり等に取り組みます。また、国・県・市町村や関係団体等で構成する「沖縄子どもの未来県民会議」を中心に、児童養護施設退所児童等への大学等進学に必要な授業料等の給付を拡大するなど、県民運動として子どもの貧困問題の解消に向けて取り組んでまいります。
 また、「黄金(くがに)っ子応援プラン」 に基づき、市町村が実施する保育所整備や、認可外保育施設の認可化を支援するとともに、保育士の確保に努め、平成29年度末までの待機児童の解消に向けて取り組みます。
 心理的に不安定で、社会生活への適応が困難な児童に心理治療等を行う「情緒障害児短期治療施設」の平成30年4月開所に向けて、必要な施設整備を支援し、要保護児童等に対する支援の充実を図ります。
 今年4月に「中央児童相談所宮古分室」を新たに開設し、宮古島市及び関係機関と連携し、離島における迅速な児童虐待対応体制の強化を図ります。
また、「医療政策課」及び「地域保健課」を設置し、地域医療構想の実現や健康長寿おきなわの復活に向けた取組の強化を図ります。
 沖縄の「離島力」の向上に向けて、下地島空港については、離島振興及び沖縄県の経済発展に資するよう、利活用事業の実施に向け引き続き取り組んでまいります。また、離島の重要性や魅力に対する認識を深める「島あっちぃ事業」について、対象離島や派遣人数を拡充するなど、離島地域の活性化等を図ってまいります。
 きめ細やかな教育指導が可能となる少人数学級を小学5年生まで拡大し、学校教育の充実に取り組みます。
 平成28年度に開始した給付型奨学金の取組を着実に実施し、経済的に進学が困難な生徒の県外難関大学等への進学を支援してまいります。
また、公立、私立を問わず県内の高等学校1年生を対象に海外渡航予定者のパスポート取得を支援し、グローバル人材の育成をさらに推進します。
 那覇市内への新たな特別支援学校の設置については、平成33年度開校に向けて取組を進め、障害のある児童生徒の教育の充実を図ります。
 平成31年度に沖縄県平和創造の森公園等を会場として開催される「第43回全国育樹祭」の成功に向けて、万全の体制で準備を進め、花と緑あふれる県土づくりに取り組みます。
 「平和創造」については、昨年の「第6回世界のウチナーンチュ大会」において、10月30日を「世界のウチナーンチュの日」として定めました。今後、同日を中心とした式典開催などの各種取組により、ウチナーネットワークの継承・発展を一層強化してまいります。
 基地問題については、過重な基地負担の軽減を図るため、基地の整理縮小をはじめ、日米地位協定の抜本的な見直し、騒音問題や米軍人軍属による犯罪など基地から派生する諸問題の解決に全力で取り組んでまいります。
 私は、日米安全保障体制の必要性は理解しております。しかしながら、戦後71年を経た今もなお、国土面積の約0.6%である沖縄県に70.6%の米軍専用施設が存在する状況は、異常としか言いようがありません。日本の安全保障は、日本国民全体で真剣に考えるべきであります。このような沖縄県の主張をうけ、全国知事会に「米軍基地負担に関する研究会」が設置されるなど、国内外において、理解が広がりつつあり、心強く感じているところであります。こうした取り組みにより、日米安全保障体制や沖縄の米軍基地負担の実情等についてさらに理解を広げ、過重な基地負担の軽減につながるよう全力で取り組んでまいります。
 普天間飛行場の移設については、引き続き建白書の精神に基づき、辺野古の新基地建設に反対し、県外移設を求めてまいります。
 平成29年度の県政運営にあたっては、「アジア経済戦略構想の実現」、「すべての人が希望を持ち安心して暮らせる社会の実現」、「地方創生の推進」、「健康長寿おきなわの復活」、「安全・安心・安らぎの確保」の5項目を「重点テーマ」として、沖縄振興を力強く推進する施策に取り組んでまいります。
 私は、郷土沖縄を愛する心と既存の価値観にとらわれることのない柔軟な発想、向上心をもって、持てる能力が最大限発揮される県庁づくりを進め、限りある行政資源の下で、より大きな成果を上げる行財政運営に努めてまいります。

翁長知事の施政方針(1)

 2月15日、沖縄県議会2月定例会が開会した。翁長知事は、2017年度一般会計予算などを議会に提案し、その趣旨説明を行った。趣旨説明ということにはなっているが施政方針演説といってもいい、中身の濃いものであった。翁長県政の2年間をきちんとみるうえで欠かせないと思うので、以下にその全文を紹介したい。
 宮古島市長選、浦添市長選と続けて、翁長知事が支持する候補が敗れ、翁長知事の2年後の再選が危うくなって来ているなどという論評も出ている。しかし、これは皮相的だ。
 菅官房長官は、「辺野古でのコンクリートブロック投下が浦添市長選でマイナスの影響を与えることはなかった」といっているが、市政刷新を訴えた候補が、どれほど辺野古新基地や那覇軍港の浦添移設について市民に語り掛けたか。参院選で発揮したオール沖縄の強みが見られなかったのは、そのあたりに起因しているのではないか。
 翁長知事の2年間の実績は、県民のよりどころである。これまで以上に厳しいたたかいになるであろう「第2ステージ」では、なぜ県民が団結するのかということを繰り返し確認することになるだろう。もちろん、辺野古の宝の海を守ること、しかしそれだけではない。「誇りある豊かさ」を求めてきた2年間の前進という宝をさらに大きくすること、これらにたいする確信が大きなとりでになると思う。

 

<2017年2月定例沖縄県議会での翁長雄志知事提案説明要旨>

I はじめに
 ハイサイ、グスーヨ一、チューウガナビラ。
 平成29年第1回沖縄県議会の開会にあたり、まず県政運営にあたっての私の所信の一端を申し述べ、県議会並びに県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

 第1に、「県政運営に取り組む決意について」申し上げます。
 県知事就任から2年余りが経過しましたが、この間、基地問題をはじめ、経済や文化、教育、福祉、保健医療など、様々な分野の課題に全力で取り組んでまいりました。
 基地問題については、県民の過重な基地負担の軽減を実現するべく、公約の着実な実現に向けて取り組んでおり、特に、辺野古に新基地は造らせないということを引き続き県政運営の柱に、全力で取り組んでまいります。
同時に、世界一危険とも言われる普天間飛行場の固定化は絶対に許されないと考えており、5年以内の運用停止を含めた危険性の除去について、政府に強く求めてまいります。
 経済面では、昨年3月に策定した「沖縄県アジア経済戦略構想推進計画」を着実に推進し、沖縄の経済産業の成長を実現してまいります。私は、知事就任以来、近隣諸外国、各地域へのトップセールスを積極的に展開する中で、各地の経済界関係者における沖縄への関心や期待の高さを実感しているところであります。昨年12月には、沖縄県福建省との経済交流促進に係る覚書も締結することができました。アジアの巨大なマーケットの中心に位置する地理的優位性と、沖縄が誇るソフトパワーなどの強みを活かし、各地の期待に応えるものを作り上げ、県経済の発展及び県民生活の向上につなげてまいります。
 また、しまくとぅばをはじめとするウチナー文化の普及継承、子どもの貧困問題の解消、沖縄全体の底上げにつながる離島の振興などは、沖縄の未来を築いていくために重要であり、引き続き積極的に施策を展開してまいります。
 私が先の知事選挙において掲げた公約については、ほぼ全てに着手できたところであります。
 完全失業率や有効求人倍率、小中学校の全国学力・学習状況調査における全国平均との差など改善の傾向が顕著な指標も出てきており、県政運営の成果は着実にあがりつつあります。
 しかしながら、課題は未だ山積しております。
 今後とも、関係各方面と丁寧に対話を重ね、沖縄県のさらなる飛躍と県民福祉の向上に向け、全力で県政運営に取り組み、「誇りある豊かさ」を実現してまいります。

 第2に、『沖縄を取り巻く現状の認識について』申し上げます。
国際社会においては、グローバル化が急速に進行する一方で、国際テロリズムや地域紛争に伴う難民の発生などが大きな課題となっております。また、情報通信技術の急激な進化と普及による「第4次産業革命」を迎える中、世界的に産業構造や社会環境の激変が生じており、沖縄県においても、この変革への対応が求められる状況にあります。また、本年1月に誕生した米国新政権の動向についても、世界中が注目しているところです。
 我が国においては、政府の平成29年度の経済見通しによりますと、雇用・所得環境が引き続き改善し、民需を中心とした景気回復が見込まれております。また、高齢化を伴う人口減少の時代を迎え、地方創生に向けた取組が引き続き全国各地で推進されております。
 沖縄県内の経済は、観光関連指標が前年を上回るなど、景気は全体として拡大しております。
 平成28年の入域観光客数は約861万人、うち外国人客が約208万人と4年連続で過去最高を更新し、観光収入は約6千億円、関連産業を含めた経済波及効果は1兆円を超えました。アジア各地との聞の直行便数も平成24年3月末の週49便から本年1月末には週175便と大幅に伸びており、那覇空港における国際貨物取扱量も着実に増加しております。
また、県外及び外資系企業による新たなリゾートホテルなどの進出も続いております。
情報通信関連産業についても、雇用者数は4万人を超え、生産額は4千億円を突破しました。
  年平均の完全失業率は、平成27年の5.1%から平成28年は4.4%と改善し、有効求人倍率については、年平均では復帰後最高値を更新し続け、直近の平成28年12月においても1.02倍と、雇用情勢は着実に好転しております。
  その一方で、求人と求職のミスマッチの解消、若年者等の高い離職率や、従業員の正規雇用化などの雇用の質の改善、県民所得の向上などが継続的な課題となっております。また、沖縄県の子どもの貧困率は29.9%と深刻な状況にあり、貧困の世代間連鎖の防止など、課題の解決に向けて全力で取り組んでまいります。
   周辺諸国との関係については、尖閣諸島の周辺水域を巡る状況を踏まえ、宮古八重山地域を始め、県民の平穏な生活環境及び県内漁業者の安全確保に向けて、国に要請するとともに、国の関係機関との連携を強化しているところです。国においては、関係改善に向けた取組も模索されており、沖縄県としても、文化や経済など多面的な分野の交流を通じ、諸国民との信頼の構築を図り、地域の平和と発展に貢献してまいります。

訪米団帰国 「ぶれずに前に、前に」と知事

  翁長雄志沖縄県知事、稲嶺進名護市長、オール沖縄会議の訪米団がワシントンでの活動を終えて昨夜(2月5日夜)帰国した。那覇空港には、出迎えの市民と取材陣の総勢70人ほどが詰めかけた。
  出迎え式でオール沖縄会議共同代表の呉屋守将氏は「キャピタルヒルの防衛省も、われわれの度重なる要請の前に動きつつあります。けっして3年前と同じではございません」と訪米の手ごたえを語った。「毎日5キロ以上歩き回って、キャピタルヒルの先生方にお訴えをして参りました」と訪米団の連日の奮闘の一端を紹介し、「その効果や必ず実るものがあると思います」と御礼のあいさつをされた。
 翁長知事は、「連日連夜、オール沖縄のみなさんがご一緒して頑張ってきましたけれども、皆さん方のお顔を拝しまして改めて疲れが取れて元気になったような気がいたします」とお礼を述べ、訪米最後の日に国務長官と総理が辺野古が唯一を確認したとのニュースに、「沖縄県民に寄り添う、あるいは誠心誠意、沖縄県民とともに考えていくといいながら、よりによって私たちが訪米行動をしているときに、ぶつけてやる中に、日本政府の焦りと、それを見据えての私たちの決意、私ももっと決意を固めましたので、おそらく多くの県民もその様子を見ながら、これからのたたかいの決意を新たにしていると思います」「これから厳しい、長いものがあります。私もぶれずに前に、前に頑張っていきます」と改めて決意。
  稲嶺進名護市長は、訪米での疲れはあるが、辺野古唯一を振りかざし、6日から海上工事を進める日米政府に抗して「われわれはこれからも突き進んでいかなければいけないという立場にある」と強調し、「本当にこれからということですが、そういう意味では、われわれは諦めるというわけには絶対いきません。これからもみなさんの力をお借りして、われわれも頑張っていきたい」と訴えた。

辺野古での抗議活動にたいする新たな封じ込め

 沖縄防衛局の辺野古での抗議活動にたいする封じ込めが次々に打たれてきている。

 大浦湾の「臨時制限区域」を示すフロート(浮き具)を張る作業が進められているが、この浮き具に支柱を取り付け、支柱についている小さい輪にロープを通している。抗議船やカヌーが立ち入らないようにするために導入した。これを最初に報道したのが産経新聞。おそらく官邸の発案ではないか。産経は沖縄では、ほとんど現場での取材をすることなく、防衛省や官邸の情報で書いているという見方がもっぱらだ。フロートを乗り越える際に、ロープを切断したら「器物損壊」で逮捕することを目論んでいる。実際、海上では「ロープを切断すると器物損壊罪に問われます」と警告していた。

 一昨年まで、カヌー隊のフロート越えに警備側は悩まされていた。拘束しても、キャンプ・シュワブ内などに連行したのち、数時間して解放していた。刑特法違反に問われたのはごくわずかだ。断っておくが、筆者はフロート越えを推奨しているわけではない。ただ今回のように、船やカヌーが触れたことでロープが切れたら、逮捕理由にするという発想に恐ろしさを感じているということだ。

 浮き具だから絶えず波に揺られ、支柱の穴のところでロープはすり減る。切れやすい状態であったり、ひどいときには、抗議船が接触する前からロープが切れていたりするだろう。意図的であれ、事実誤認であれ、ロープが切れている=切断した、となることも起こりうる。

 

 これにつづいて、さらに、報道各社への威嚇といってもいいことも起きている。沖縄防衛局は、次のようなファクスを各社に送り付けたらしい。

 

沖縄県記者クラブ加盟各社各位

 キャンプ・シュワブ沖に設定された臨時制限区域内への許可なき立ち入りについて

 標記臨時制限区域は、陸上施設及び普天間飛行場代替施設の建設に係る区域の保安並びに水陸両用訓練に使用するため、防衛省告示第123号(平成26年7月2日)により、常時立ち入り禁止区域に設定されており、正当な理由なく、標記臨時制限区域に立ち入った場合には、いわゆる刑事特別法第2条の規定に基づき、「一年以下の懲役又は二千円以下の罰金若しくは科料」に処せられます。
 沖縄防衛局は、正当な理由なく、標記臨時制限区域へ立ち入ろうとする者や船舶等を未然に防止するため、標記臨時制限区域の境界を示す灯浮標を設置し、これらの者や船舶等に対しては、当局の警備業務受注者から臨時制限区域のため、立ち入り禁止となっている旨警告を行っているところです。
 先般、報道関係者と思われる方が乗船した船舶が、標記臨時制限区域に許可なく立ち入り、当局の警備業務受注者の警告にも従わない事案が発生しました。
 沖縄県記者クラブ加盟各社におかれましては、標記臨時制限区域に許可なく立ち入ることのないようお願い申し上げます。
                       平成29年1月18日
                   沖縄防衛局総務部報道室長

 

 「報道関係者と思われる方が乗船した船舶が、標記臨時制限区域に許可なく立ち入り、当局の警備業務受注者の警告にも従わない事案が発生し」たと言っているところが、防衛局が一番いいたいところだろう。

 高江のオスプレイパッド建設問題では、地元紙は、北部訓練場内に入った市民から話を聞いて、北部訓練場内の工事がどうなっているかを伝えていた。北部訓練場内に立ち入ることは法令上できない。かといって、中の様子がわからなければ、沖縄県民は声のあげようもなくなってしまう。ドローンで撮影された写真で、どれほど大規模な伐採が行われ、やんばるの森が破壊されているかをようやく知ることができたのである。

 地方自治や沖縄の環境をまもるのにかかせない情報だということと、法令に反した形での情報を扱うかどうかということのはざまで、悩みながらも紙面に掲載していたのだと推察する。県警や沖縄防衛局はそういう報道をこころよく思っていなかったようだが、今回、そのメディア対策を早くもとってきたといえよう。