地位協定改定求める自治体が7道県45市町村に

 1月4日のこのブログで、「全国知事会が2018年7月27日に日米地位協定の改定を求めた提言をおこなったが、これを受けて7道県36市町村が地位協定の改定を求める意見書を可決した。航空法など国内法を米軍に適用することを求めている」と書いたが、これから8市町村増え、7道県45市町村に広がった(3月8日現在)。

 新たに可決したのは北海道小樽市名寄市山形県鶴岡市、石川県金沢市大阪府吹田市の5市と、北海道は白老町奈良県平群町、福岡県築上町の3町。

 沖縄県玉城デニー知事は、先日、安倍首相と会談した際、SACO+沖縄の仕組みを作るよう求めた。日米政府間の協議では、基地を抱える自治体の負担の現状についての住民の訴えがほとんど反映していない。例えば、学校や病院上空で、オスプレイの低空飛行はやめてほしいとか、学校に軍用機の部品が落ちた現認についての日本側に調査をさせよといった最小限のことさえ、日本政府が米側に求めたかきわめて疑わしい。SACOは、米軍の軍事的要求を日本政府に一方的に押し付ける場ではなく、安全保障に関する協議と解決のための行動委員会である。しかし、日本政府は、こうした問題を掌握しようとしないし、提起しない。であれば、自治体が直接、発言するしかない。そして、これが実現すれば、地位協定の実質的な改定にもなるのではないか。

 地位協定の改定と合わせ、自治体が米側にたいし発言する場をつくるよう提起することを求めたい。

沖縄県民投票目前 抵抗をどう乗り越える

 沖縄県の玉城知事は1月11日、県庁で記者会見をおこない、県民投票を実施しない意向を示している5つの市が態度を変えなくても予定通り2月24日に県民投票を実施すること、実施に関する条例の改正は行わないことを明らかにしました。県民投票は、「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに対し、県民の意思を的確に反映させる」ためにおこなわれます。県民投票をおこなわないことを表明しているのは、宜野湾市沖縄市宮古島市石垣市と、議会が投票の事務にかかわる予算を否決しているうるま市の5市。沖縄県は、引き続き、これらの市にたいして説得を続けるとしています。

 玉城知事が記者会見で出したコメントは次のとおり。

 ○県民投票に関し、先ほど与党代表者の皆様と面談を行いました。その結果、①県民投票は予定通り、本年2月24日に実施すること②条例の改正については、様々な課題があり難しいこと③予算措置がなされていない5市については、これまで通り最大限協力をお願いしていくこと―、以上のことを確認しました。

 ○今回の県民投票条例については、法定署名数の2万3171筆を大きく上回る9万2848筆の署名の提出をもって県民によって発案され、平成30年9月5日に、地方自治法第74条の規定に基づき同条例の制定が県に請求されたものであります。

 ○県民投票は、通常の選挙と同様に、投票資格者名簿の調製、投票及び開票の事務など、市町村の協力がなければ実施できないものであります。

 ○そのため、条例の制定にあたり、県民投票に係る事務の一部を市町村に移譲するため、県は、直接請求を受けた平成30年9月5日と同日付けで、地方自治法第252条の17の2の規定に基づき、市町村長への協議を行ったところです。

 ○当該協議を経て、県は、平成30年9月20日に条例案を県議会に提出し、議会での審議を経て可決され、平成30年10月31日付けで公布、施行されたところです。これにより、県民投票に係る事務の一部が市町村に移譲されております。

 ○また、県民投票に関する事務を執行するための予算については、地方財政法に基づき、県が全額交付金で措置することとしており、各市町村においては、それを財源とした必要経費について、補正予算に計上していただいているところであり、36市町村で予算措置がされております。

 ○一方で、残る5市については、議会に対して当該事務に係る経費が地方自治法第177条第1項で規定されている義務に属する経費として再議に付したものの、否決されており事務の執行に係る予算措置がなされておりません。

 ○自治法第177条第2項においては、義務に属する経費について、議会で削除しまたは減額したときは、市町村長はその経費を支出することができるとしておりますが、宮古島市宜野湾市沖縄市においては、再議で否決され、市議会の判断は重いなどとして、県民投票の事務を実施しないとしております。

 ○県としては、自治法第177条第2項の解釈について、義務に属する経費として再議に付したものであること、また、「できる」とされている規定は、権利等を与えられていると同時にその権利等を一定の場合には行使する義務をも負う、という意味も含むものと考えられ、市町村の長に裁量権を付与したものではない旨をご説明をしているところです。

 ○県民投票条例の施行により、県及び市町村は、同条例の規定に基づき、県民投票に関する事務を執行する義務があるものであり、仮に当該事務を執行しない場合には、同条例及び地方自治法の規定に違反することになると考えております。

 ○県としては、違法な状態になることを回避するため、対話を通して市町村に協力を求めるとともに、地方自治法第252条の17の4規定に基づく是正の要求も検討してまいります。

 ○県民投票の全県実施を断念した経緯はなく、引き続き、全ての市町村で県民投票が実施できるよう、全力を尽くしてまいります。

 

 2018年9月の知事選では、辺野古新基地ノーを掲げた玉城デニー氏が安倍政権が支援する相手候補に8万票の大差で当選しました。翁長前知事に続き、玉城知事も辺野古新基地建設ノーを最大の公約として当選したことから、沖縄の民意は辺野古新基地建設ノーであることは明確。安倍政権は、沖縄県民に寄り添うと言いながら、基地建設のために、大浦湾に土砂投入を始めました。こうしたなかで行われる県民投票です。

 基地建設を進める政府としては、県民投票をこころよく思っていないことは明らかです。投票事務を拒否している5市の市長も同じでしょう。沖縄市の桑江市長は、選択肢が○か×しかないのはいかがかなどと言っているようですが、県民投票の意義をうすめるための駆け引きの一つのように思われます。それは、過去、幾多の住民投票が選択肢を増やすことで、民意が不鮮明になった例をみれば、そう言わざるをえません。

 そもそも、全県で行われようとしている県民投票を、市長の考えによってその市だけが投票できないということがあってよいのでしょうか。憲法違反という指摘があります。沖縄弁護士会の天方徹会長は緊急の声明を1月12日に出しました。「一部の県民から県の意思形成に参加する機会を奪うことは決して許されない」とし、全県で県民投票の機会が保障されるよう求めています。天方会長は記者会見で、「(県民投票の)設問のあり方であるとか、これについてもご意見が色々あって、そういったことについても例えば、県民投票の場において白票を投ずるであるとか、棄権をするであるとか、何らかの記載をして投票するであるとか、いう意見表明をそれぞれできるはず」と話しました。

 市長が投票を行わないとしている市では、投票が行えるようにしてほしいという市民の要請活動が続けられています。

 市長や議会のリコール運動をするとか、市長を相手に損害賠償を求める訴訟を検討する動きもあるようです。時間的には、2月24日の投票には間に合わないと思われますが、市民の投票権を奪うことにたいし、強い抗議の活動をしたいという表明でしょう。

 市が管理する県民投票が行われない市では、市民が独自に呼びかける「模擬投票」を行おうという意見も出ています。「公的なものではないので、県民投票の投票結果にはんえいされることはないが、これだけの民意が切り捨てられたということを示すことにはなり、その意味は小さくない」と見ている人もいます。

 

日米地位協定の抜本的見直し求める動き広がる

 全国知事会が2018年7月27日に日米地位協定の改定を求めた提言をおこなったが、これを受けて7道県36市町村が地位協定の改定を求める意見書を可決した。航空法など国内法を米軍に適用することを求めている。

 

 知事会の提言は、2015年12月に沖縄県が「米軍基地負担の軽減について検討する場の設定」について提案したことに始まる。2016年7月、沖縄をはじめとする在日米軍基地に係る負担の状況を広く理解し、共通理解 を深めることを目的に、知事会は「米軍基地負担に関する研究会」を設置し、6回の協議を重ねた。

◆第1回(2016年11月21日) 「沖縄県における米軍基地の現状」について、沖縄県から説明

◆第2回(2017年2月9日) 「日米安全保障体制と日本を取り巻く課題等」について、 政策研究大学院大学 道下徳成教授から講話、及び質疑

◆第3回(2017年6月1日) 「米軍基地負担の現状と負担軽減」について事務局説明及び意見交換

◆第4回(2017年11月30日) 「日米地位協定」について、入谷貴之外務省北米局日米地位協定室長から説明、及び質疑

◆第5回(2018年2月15日) 「日米地位協定を考える-改定問題を中心に-」と題し、 法政大学法学部 明田川融教授から講話、及び質疑

◆第6回(2018年6月6日) 「他国地位協定調査」について、沖縄県から説明

研究会は2018年7月、

・これまで米軍基地の返還等が進んでいるが、沖縄県の面積に占める割合 は、依然として高い水準にある

沖縄県においては、県経済に占める基地関連収入割合が、復帰時に比べ 大幅に低下(H26:5.7%)しており、経済効果の面からも、さらなる基地の 返還等が求められる

・航空機騒音、米軍人等による事件・事故、環境問題等の基地に起因する問題 を抜本的に解決するため、また基地周辺以外でも、飛行訓練等の騒音被害や 事故に対する不安等の住民負担を軽減・解消するため、日米地位協定の見直し が必要である

の3点をあげ、「今後、全国知事会としても、政府へ対応を求めていく」ことを確認した。

  2018年7月27日、全国知事会は、

1 米軍機による低空飛行訓練等については、国の責任で騒音測定器を増やすなど必要な実態調査を行うとともに、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行い、関係自治体や地域住民の不安を払拭した上で実施されるよう、十分な配慮を行うこと

2 日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること

3 米軍人等による事件・事故に対し、具体的かつ実効的な防止策を提示し、継続的に取組みを進めること、また、飛行場周辺における航空機騒音規制措置については、周辺住民の実質的な負担軽減が図られるための運用を行うとともに、同措置の実施に伴う効果について検証を行うこと

4 施設ごとに必要性や使用状況等を点検した上で、基地の整理・縮小・返還を積極的に促進すること

―の4項目を提言した。

 

 この動きの根底にあるのが、オスプレイの全国展開と、それに抗する市民の運動だ。

 それを裏付ける動きを二つ紹介する。

 一つは、長野県佐久地域(11市町村)で地位協定見直しを求める意見書提出が相次いだことである。佐久地区平和委員会や革新懇などが各自治体に請願や陳情を精力的に行った。その結果、軽井沢町御代田町立科町佐久穂町、小海町、北相木村南相木村、川上村で意見書が可決された。同平和委員会は、この地域がオスプレイの山岳訓練のルートになっており、多くの自治体が意見書を可決したと受け止めている。

 もう一つは、埼玉県平和委員会がとりくんできたオスプレイ飛行ルート下の自治体との懇談。埼玉県平和委員会はその結果を「ピース・キャラバン2018」としてま求めているが、各自治体がオスプレイの影響について情報収集に取り組み始めていることが伝わってくる。これは、大きな変化だろう。

 ピース・キャラバン2018は、米空軍CV22オスプレイが2018年10月に横田基地(東京都福生市など5市1町)に正式配備される直前の8月28日から配備後の11月21日までに、県と36市町を訪問し、副市長や総務部長など基地関係の担当者と懇談した。そのなかで、「日米合同委員会合意で避けることが原則になっている学校や病院の上空での訓練が行われたことは遺憾」(県)、「7月にCV22が連絡なく飛んできた。地元としては遺憾だと、北関東防衛局には要請した」(新座市)などの回答があった。

 自治体が住民の不安や声を受け止め、動き始めれば、政府も何らかの対応を迫られることになる。「沖縄のようにたたかおう」と言われる。その通りで、オスプレイ基地問題もしかりだ。

 

沖縄県民投票の成功を

[県民投票成功へ連絡会結成]

 名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票が、2月24日に行われる。多くの県民の参加で県民投票を成功させようと、政界や労組、経済界や市民団体などが「辺野古埋め立て・新基地建設反対の民意を示す県民投票連絡会」を昨年暮れに立ち上げた。共同代表の稲嶺進前名護市長は「今を生きる責任世代として、子どもや孫、次の世代のために私たちが今できること、やらなければいけないことをしっかりわきまえて臨もう」と呼び掛けた。この県レベルの会の動きに呼応して、12月28日、那覇市の会が結成された。ビラやのぼりなどを作製し、年明けから市内で精力的に集会や街頭宣伝を行う予定。

 1月1日、「県民投票連絡会」が記者会見をおこない、県民投票を実施すべきだと考えている県民が74%に上っており、「県民投票不参加の意向を示す首長はこの結果を真摯に受け止め、再考すべきであります。有権者の政治参加の機会を奪ってはなりません」(照屋大河県議)と訴えた。

 同会が2018年12月29日に実施した県内電話意識調査によると、名護市辺野古の新基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票について「賛成する」とした回答が74%にのぼった。「反対する」は19%で、「どちらとも言えない」が8%。

 沖縄県政与党側の「オール沖縄」がおこなった調査だから「県民投票実施に賛成」と答える人が多くなる傾向が出ていると思われるが、「県民投票に反対する」と答えた人が19%だったことから明らかなように、この調査に作為性はなく、県民全体の意識をしっかり反映しているとみるべきであろう。

 

[県民投票 そもそも]

 県民投票条例は、県民投票の目的を「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに対し、県民の意思を的確に反映させる」ためとし、投票では、埋め立てに賛成するときは投票用紙の賛成の記載欄に○を、反対するときは反対の記載欄に○を記載すると定めている。

 開票は、投票率のいかんにかかわらず行われ、結果は、公表される。賛成票または反対票のどちらか多い方が有権者総数の4分の1に達したときは、知事はその結果を尊重する義務を負うことになり、首相と米国大統領に県民投票の結果を通知すると規定されている。

 「米軍基地建設のための埋立てに対し、県民の意思を的確に反映させる」県民投票だが、9月の知事選で辺野古新基地ノーを掲げた玉城デニー氏が安倍政権が支援する相手候補に8万票の大差で当選し、県民の民意を明確に示したにも関わらず、土砂投入を行った安倍政権。この暴政にたいする抵抗を示す意義もいよいよ強くなってきた。

 

[全県での県民投票実施を]

 1月2日現在、県民投票実施が不透明な市町村は、6自治体である。うるま市投票実施に伴う予算否決、沖縄市は再議否決、宜野湾市は再議否決し市長も不参加表明、糸満市は予算否決、宮古島は再議否決し市長が28日に最終判断としていたが越年、石垣市は再議でも否決―という状況である。

 沖縄県は、県民投票実施を決めていない自治体に対し、投票の機会を保障するよう求めている。謝花喜一郎副知事らは12月27日、松川正則宜野湾市長、上原昭糸満市長と面談。県民投票への不参加を表明した松川市長には予算を執行するよう勧告した。

 県は市町村にたいし、「(県民投票関連の)予算を執行することは裁量規定ではなく、義務であることを多くの行政法の先生から確認している」と説明している。

 市町村には条例に基づいて県民投票の事務を行う義務があるというのが、総務省の見解であり、6自治体はいずれ総務省に見解を求めるであろうから、県民投票を拒否することはできなくなると思われる。ただ、県民の間の亀裂を深刻にしないためにも市民が県民投票を保障するよう声を上げることがカギであろう。

沖縄戦民間人犠牲者遺骨を遺族の元へ

 厚生労働省は2018年12月26日、「平成30年9月3日までに検体が提出された286件の遺族と、沖縄県の10地域で収容された遺骨のうちDNA鑑定が可能であった遺骨84体との間でDNA鑑定を行ったが、遺族と血縁関係を有する遺骨は特定できなかった」との結果を発表しました。一体でもいいから遺骨と遺族の血縁関係が明らかになり、沖縄戦で亡くなった方の遺骨が遺族の元に戻ればいいがと期待していたのですが、残念でした。

 旧日本兵の場合、軍の所属部隊を示す襟章や所持品(記銘された万年筆など)を身に着けていて、身元が特定されたケースがありますが、民間人の場合、そういうものを持っている人はほとんどいませんし、迫りくる米軍の包囲網から逃げ惑うなかで犠牲になり、大半の人が、いつ、どこで亡くなったか分からないということのようです。それだけに、DNA鑑定が遺骨と遺族を結びつける唯一の手掛かりとなります。

 具志堅隆松さんの働きかけで、厚生労働省は、遺族の希望があればDNA鑑定を行うとして、民間人にも門戸を閉ざさない対応をとりました。

 しかし、対象となった遺骨が84体と少なかったために、遺骨と遺族を結び付けるまでに至らなかったもので、さらに広げるべきだと考えます。

 [遺骨のDNA鑑定について]

 ・厚労省は、国立墓苑の収骨は、焼骨されており、DNAが取れないと言っているが、実際に鑑定したことはあるのか。焼いたときの温度が低かったため、DNAがとれる可能性があるのではないか

 ・国立墓苑ができたとき、それまで納骨されていた県内各地の慰霊施設から国立墓苑に移されているが、それは「分骨」という形だった。地元でも慰霊できるようにとの考えが働いたところもあったということらしい。どういうことかというと、大きな骨は国立墓苑に移したが、「残骨」は元の施設に残された。現在は、その「残骨」からでもDNAがとれるのではないか。

 [対象遺族]

 ・現在、遺族へのDNA鑑定に参加をと呼びかけているのは、具志堅さんら市民である。厚生労働省は、沖縄県と各市町村に依頼してもっと大規模にDNA鑑定を呼び掛けるべきではないか。そうすることが、沖縄の人たちに多大な犠牲を強いた日本という国の戦争責任の取り方の一つではないか。

 

鉄格子に入れられた裸の戦争孤児

 「檻に入れられた子どもの写真をご覧ください」

 11月11日に東京大空襲・戦災資料センターで開かれた「戦争孤児たちの戦後史研究会」で、東京大空襲で両親を失った元木キサ子さんは、一枚の写真を取り出しました。

 それは、10人ほどの「浮浪児」が裸で鉄格子に入れられている写真で、1945年にお台場で撮影された毎日新聞の写真です(おそらく版権は毎日新聞社にあるのでしょうが、インターネットでも見ることはできます)。

 戦災資料センターの研究員にこの写真のことを聞きましたが、「お台場の孤児たちに関する研究は、されていないのではないでしょうか。鉄格子に裸で入れるというのが国・都の方針だったのか、ここだけのことだったのか、また、お台場が一時的だったのか、一定期間、子どもたちを収容したのか、分かりません」といいます。研究会の何人かにも聞きましたが、分かりませんでした。

 『図録 東京大空襲展2005年』は、そのお台場の写真のほか、1947年の浮浪児狩りの朝日新聞の写真も紹介している。児童福祉法は1947年12月に制定されているので、同法が策定される過程で、こうした戦争孤児にたいする施策のあり方は、どのように議論されたのでしょう。

 元木さんは、「浮浪児は、統計では孤児に入っていないようです。しかし、餓死、凍死など過酷な環境に浸かっていました。上野周辺に集まっていた子どもたちを、国は浮浪児狩りといって、1匹、2匹といって集めていたんですよ。これが、国が起こした戦争で親を奪われた子どもにたいする国の仕打ちです。人格も権利もない」と厳しい言葉を繰り出しました。

 家を焼かれ、両親を失い、生きるすべもなく、放り出され、戦後70年余りを生きて来た孤児たちの思いです。当時の、日本の児童施策がどのようであったのかを調べる必要があると思います。